「表皮」って何ですか? 【表皮のしくみと機能】
質問:「表皮」って何ですか?
『表皮』と言う単語は聞いたことがあるけど、よく分からないという方は多いのではないでしょうか?
今回はそんな疑問にお答えします。
1.表皮のしくみと機能
表皮は外部の刺激からお肌を守っています。
その厚さは『約0.2mm』と薄く、この薄さの中、さらに『角質層(角層)』・『顆粒層』・『有棘層』・『基底層』の4層に分かれています。
4層の他に、『透明層』を含め5層と考える場合もありますが、透明層は手のひらと足の裏にしかないので、ここでは、透明層を除く4層構造として考えます。
表皮を構成する細胞の大部分を占めるのは『ケラチノサイト(角化細胞)』と呼ばれる細胞です。基底層で生まれたケラチノサイトは、次々と生まれるより新しい細胞によって、お肌表面へ押し上げられます。
ケラチノサイトは各層を移動していく中で、基底細胞 ⇒ 有棘細胞 ⇒ 顆粒細胞と形を変えていき、最終的には、『ケラチン』からなる『角質細胞』となって、角片として剥がれ落ちます。
この角片、体表面の部位であれば『アカ』、頭皮であれば『フケ』なのです。
新しい細胞が生まれて、角片として剥がれ落ちるまでを『ターンオーバー』と言い、その周期は『約28日』です。
表皮には、その他にも細胞がいます。
・肌の色を決定し、シミの原因にもなる『メラニン色素』を産生する『メラノサイト(色素形成細胞)』
・免疫作用をもつ『ランゲルハンス細胞』
・感覚をつかさどる『メルケル細胞』 など
1-1.基底層(きていそう)とは
基底層は『表皮の最下層』にあり、真皮と接しています。
基底細胞は毛細血管から栄養を受け取り細胞分裂を行います。2個に分裂した細胞のうち、1個は基底層に留まり次の分裂に備えます。他の1個が有棘細胞、顆粒細胞、角質細胞と形を変えていくのです。
基底細胞の間には、樹木が枝を広げたような形をした『メラノサイト(メラニン形成細胞)』が点在しています。このメラノサイトがシミの原因『メラニン色素』を生成します。
いわば、メラノサイトは『メラニン色素生成工場』とも言えます。
メラニン色素は、基底層で生まれ、どんどんお肌表面に押し上げられます。
通常、お肌のターンオーバーによって、角片として体外に排出されますが、排出が追いつかないほど生成量が過剰であったり、上手く排出されなかったりして、お肌に留まったものが『シミ』なんです。
基底細胞では、新しい細胞が次から次へと生まれますから、基底層が破壊されない限り、どのような傷を受けてもお肌は再生します。
1-2.有棘層(ゆうきょくそう)とは?
有棘層には数層から10層位の有棘細胞が並んでいて、表皮の中では一番厚い層です。
有棘層には有棘細胞の他に、非常に重要な役割を果たす『ランゲルハンス細胞』があります。
ランゲルハンス細胞は、外部から侵入してきた異物に対し、異物が入ってきた!と一番初めに認識する働きを持っています。
つまり、ヒトの免疫反応の入り口です。これによって免疫システムが発動されるわけです。
1-3.顆粒層(かりゅうそう)とは?
顆粒層は1~2層の顆粒細胞から成っていて、顆粒細胞の中には『ケラトヒアリン顆粒』と呼ばれるものが含まれています。
このケラトヒアリン顆粒、光を屈折させる性質がありますので、紫外線を反射させて、お肌の奥まで紫外線が浸透するのを防ぐ役割もしています。
1-4.角質層(角層)とは?
『角層』とも言います。
私個人としてはこちらの方が好きなので、今後、このブログ内では『角層』と記載させていただきます。
表皮の最も外側にあるのが『角層』です。10~20層にも重なってできていて、核がありませんので、死滅したケラチノサイトの集まりとも言えます。
角層の下の方は、角質細胞が密着していますが、上に行くにしたがい、密着が弱まり細胞間に隙間ができて、アカとなって剥がれ落ちます。
角層は『吸水性』や『保湿性』に優れていて、通常であれば『15~20%の水分』を含んでいます。そして、角質細胞の中にある『NMF(天然保湿因子)』は角層内部のうるおいを保つのに重要な働きをしています。
2.おわりに
いかがでしょうか?
コスメを語るうえで、『表皮のしくみと機能』は非常に重要です。
特に『角層』と『基底層』は、コスメのCMや商品ページによく出てくるので、これを機会にぜひ覚えてください。