コスメに植物エキスは何%くらい配合されていますか?

疑問:コスメに植物エキスは何%くらい配合されていますか?

「〇〇エキス配合!」と大きく宣伝するコスメがたくさんあると思いますが、一体、これら〇〇エキスは、何%くらい配合されているのでしょうか?

「〇〇エキス配合!」と大きく宣伝するくらいですから、かなりの量、配合されているのでしょうか?

今回はそんな疑問にお答えします。

 

1.成分(植物エキスなど)の配合量について

 

コスメ・エキス・配合量

商品周りや商品ホームページなどで、「〇〇成分配合」と宣伝している成分のことを『訴求成分』と言います。

ヒアルロン酸やコラーゲン、様々な植物エキスは、典型的な『訴求成分』で、「〇〇配合」と宣伝するケースがほとんどです。

一方、水やBG、グリセリンといった成分は、コスメに必須ですが、「配合している」と宣伝することは稀ですから、訴求成分ではありません。

ヒアルロン酸やコラーゲン、様々な植物エキス類などの訴求成分は、コスメにおいて「〇〇配合」と必ずと言っていいほど宣伝しますから、さぞたくさんの量を配合しているとお思いではありませんか?

実は、これら訴求成分の配合量は、勿論例外もありますが、多くの場合『1%以下』の配合に留まります。

植物エキスは、植物の実や葉、茎から抽出しますので、コスメでは『抽出液』を配合します。この抽出液は、「エキス部分」と抽出に用いた「液体(溶媒)部分」から成ります。

割合的には、『エキス 1~5%』『溶媒 95~99%』です(例外あり)。

『シャクヤクエキス』を例にとって考えてみましょう。「シャクヤクエキス」は、美白成分として有名な植物エキスです。コスメに配合する際は、「シャクヤクエキス」そのものを配合するのではなく、『約1~5%のシャクヤクエキス抽出液』を配合します。そしてその配合量は、多くの場合、『1%以下』です。

「シャクヤクエキス」そのものを1%以下ではなく、1~5%のシャクヤクエキス抽出液を1%以下ですから、「シャクヤクエキス」そのものは、かなり低い配合量だとお分かりになると思います。

勿論例外もありますが、多くの植物エキスが上記の考え方に該当しますから、「〇〇エキス配合」と宣伝している成分は、大きく宣伝しているにもかかわらず、皆様が考えているよりもかなり低い配合量です。これがコスメの現実です。

ですから、ネット上では、『植物エキスは無視した方が良い(低配合量のため)』とおっしゃる方もいますが、それは違います。コスメの訴求成分が低配合量であることは事実ですが、それには理由があります。次項で詳しくご説明します。

ちなみに、医薬部外品の場合は少し違います。医薬部外品『有効成分』は、配合量が決められています。その配合量を守らない限り、販売が認められません。例をあげると、『アルブチン』は美白の有効成分で、医薬部外品の場合、『3%』と決められています。アスコルビン酸2グルコシド』も美白の有効成分で(ビタミンC誘導体)、その配合量は『2%』です。

このように、化粧品と医薬部外品では成分の配合量に対する考え方が大きく異なります。

 

2.何故、訴求成分の配合量は1%以下なのか?

コスメ(化粧品)にとって一番重要なことはなんでしょうか?

お求めやすい「価格」でしょうか?

心地よい「使用感」でしょうか?

肌トラブルを改善する「効果」でしょうか?

かわいらしい「デザイン」でしょうか?

いずれも違います。コスメにとって一番重要なことは『安全性』です。

「化粧品とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう」

上記『コスメの定義』であると、薬機法第2条第3項(旧薬事法)に定められています。

ここで重要なことは、コスメ(化粧品)は『人体に対する作用が緩和なもの』であり、医薬品のように『強い作用(効果)』と、それに伴う『副作用』はあってはなりません。医薬部外品も同様で、「医薬部外品とは作用が緩和なもの」と、薬機法に明確に記載されています。 だからこそ、コスメにとって一番重要なことは、「価格」でも「使用感」でも「効果」でも「デザイン」でもなく、『安全性(緩和な作用)』なのです。

『安全であること』が、コスメの大前提です。

話を元に戻します。

訴求成分が低配合量の理由は、何よりも『安全性』を重視しているからです。

効果を追及するのであれば、訴求成分を多量配合しますが、訴求成分の多量配合は、安全性リスクが非常に高い。『肌トラブル』につながる恐れがあります。

訴求成分は、お肌にとって何かしらの効果を与える成分です。高配合して効果を得る代わりに、お肌に刺激を与え、重篤な肌トラブルを引き起こすなどの『安全性トラブル』が生じる可能性があります。効果のために安全性を犠牲にすることは、絶対にあってはなりません。

ですから、訴求成分を高配合したくても、ユーザーの皆さんに、安全に使って頂くことを一番に考え、1%以下の配合量になるのです。

ただし、効果を無視しているわけではありません。私はエキス類を開発し、それを商品へ配合検討した経験が何度もありますが、その商品のコンセプトの中心となるような訴求成分、つまり、『商品の顔となるような訴求成分』に関しては、十分な効果が得られる『有効濃度』を調べ、安全性に最大限考慮しながら、有効濃度を配合するケースは多々あります。必ずしも、全ての訴求成分が低配合量と言うわけではありません。

 

3.おわりに

いかがでしょうか?

「コスメに全成分が表示されていること」も、「訴求成分配合量が想像以上に低いこと」も、全て、コスメの本質が『安全に使い続けて頂くこと』にあるからです。

何かしらの肌トラブルを抱えてしまっては、後悔してもしきれません。

ですから、効果にばかり着目せず、『安全に使っていられるか』という視点も忘れず、コスメを選び、使用してください。